厚生年金

厚生年金とは
仕組み・対象者・メリットをわかりやすく

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、休める時間に使える余白まで確認します。

厚生年金は会社員・公務員が加入する公的年金で、国民年金(基礎年金)に上乗せされる「2階部分」の年金

老後資金を調べたあとに

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老後資金を逆算して家計を整理する場面
老後の安心 年金、貯蓄、生活費を並べ、働き続ける不安を減らす。
医療費や健康不安を早めに確認する場面
医療・介護費 将来の不調や介護に備えるお金を、生活費から切り分ける。
老後に楽しむ旅行の予定を立てる場面
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相談者の声

老後資金を調べた人に近い相談者の声

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相談を担当するFP

ファイナンシャルプランナー 増岡 真奈美

増岡 真奈美 (ますおか まなみ)

FP2級相談実績 1,500件超資産形成、老後準備、不動産、ライフプラン

女性ならではの視点で、将来に向けた資産形成やライフプランをサポート。 年金・医療費・介護費・楽しみの予算を同じ年表で整理します。

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目次(12セクション)
  1. 厚生年金の制度概要と歴史
  2. 加入条件|誰が対象になる?
  3. 保険料の仕組み|計算方法と労使折半
  4. 老齢厚生年金|受給要件と計算式
  5. 障害厚生年金|1〜3級の保障
  6. 遺族厚生年金|万一のときの家族保障
  7. 国民年金との違い|1階と2階の比較
  8. 厚生年金基金と企業年金|3階部分の仕組み
  9. 在職老齢年金|働きながら年金を受け取る
  10. パート・短時間労働者の適用拡大
  11. 年金制度改革の最新動向【2024〜2026】
  12. よくある質問(FAQ)

厚生年金の制度概要と歴史

厚生年金保険は、会社員や公務員が老後・障害・死亡といったリスクに備えるための公的年金制度です。国民年金(基礎年金)に上乗せして支給されるため「2階建て年金の2階部分」と呼ばれます。

2階建て構造の全体像

  • 1階:国民年金(基礎年金) — 日本に住む20歳以上60歳未満の全員が対象。給付額は定額(満額で年約81万円)
  • 2階:厚生年金 — 会社員・公務員のみが対象。現役時代の報酬に比例して給付額が増える
  • 3階(任意):企業年金・iDeCo など — 企業や個人が任意で上乗せする私的年金

会社員は厚生年金に加入すると、自動的に国民年金(第2号被保険者)にも加入した扱いになります。厚生年金保険料の中に国民年金保険料相当分が含まれているため、別途国民年金保険料を納める必要はありません。

制度の沿革

厚生年金の前身は(昭和17年)に施行された「労働者年金保険法」です。当初は男性の現業労働者のみが対象でした。に「厚生年金保険法」に改称され、女性や事務職にも対象が拡大されました。

戦後の改正で現在の制度の骨格が固まり、の基礎年金制度導入により「1階:国民年金+2階:厚生年金」の2階建て構造が完成しました。10月には被用者年金一元化法が施行され、公務員の共済年金が厚生年金に統合されています。

加入条件|誰が対象になる?

厚生年金の加入対象者(被保険者)は、適用事業所に使用される70歳未満の人です。具体的には次のとおりです。

強制適用となる事業所

  • 法人事業所:業種を問わず、法人であれば従業員1人から強制適用
  • 個人事業所:常時5人以上の従業員がいる法定16業種(製造業・商業・金融保険業など)は強制適用
  • 任意適用事業所:上記以外でも、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可で加入可能

被保険者の種類

  • 会社員(正社員):適用事業所に常時使用される人は原則全員が加入
  • 公務員の一元化以降、厚生年金の第2号〜第4号厚生年金被保険者として加入
  • パート・アルバイト:一定の要件を満たせば加入(詳細はパート・短時間労働者の適用拡大で後述)
  • 法人の代表者・役員:法人から報酬を受けていれば、1人社長でも加入義務あり
  • 70歳以上:原則として資格喪失。ただし受給資格期間を満たしていない場合は「高齢任意加入被保険者」として任意加入が可能

加入できない人

個人事業主・フリーランス・自営業者は厚生年金に加入できません。これらの人は国民年金(第1号被保険者)のみとなり、老後の年金額に差が出る要因となります。法人化すれば加入義務が生じるため、年金額を増やす目的で法人成りを検討する人もいます。

保険料の仕組み|計算方法と労使折半

厚生年金保険料は報酬に比例して決まり、会社と本人が半分ずつ負担します(労使折半)。

厚生年金保険料の計算式

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 18.3%
(本人負担:9.15%、会社負担:9.15%)

標準報酬月額とは

標準報酬月額は、毎月の給与(基本給+各種手当+通勤手当など)を区切りのよい等級に当てはめたものです。毎年4月〜6月の報酬の平均をもとに9月に改定される「定時決定」が基本ですが、昇給などで大幅な報酬変動があった場合は「随時改定」も行われます。

等級は第1級(88,000円)から第32級(650,000円)まであります。上限は65万円なので、月収がそれ以上でも保険料は頭打ちになります。

賞与にも保険料がかかる

賞与(ボーナス)に対しても同じ18.3%の保険料率が適用されます。ただし1回の支給につき150万円が上限(標準賞与額の上限)です。賞与から控除される保険料も、将来の年金額に反映されます。

保険料率の推移

厚生年金の保険料率は段階的に引き上げられ、9月に18.3%で固定されました。これは改正で決められた「保険料水準固定方式」によるもので、それ以降は保険料率を上げず、給付水準の調整(マクロ経済スライド)で制度を維持する設計です。

詳しくは厚生年金保険料の計算をご覧ください。

老齢厚生年金|受給要件と計算式

老齢厚生年金は、長年にわたって厚生年金保険料を納めた人が、老後に受け取る年金です。国民年金の老齢基礎年金に上乗せされて支給されます。

受給要件

  1. 保険料納付済期間等が10年以上(国民年金と厚生年金の合算)
  2. 厚生年金の被保険者期間が1か月以上
  3. 65歳に達していること(原則)

年金額の計算式(報酬比例部分)

報酬比例部分の計算

年金額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 被保険者月数

たとえば平均標準報酬額が40万円、加入月数が480か月(40年間)の場合、報酬比例部分は年間約105万円となります。これに老齢基礎年金(満額約81万円)が加わり、合計で約186万円が年間の受給額の目安です。

繰上げ受給と繰下げ受給

老齢厚生年金は60歳から繰上げ(1か月あたり0.4%減額)、75歳まで繰下げ(1か月あたり0.7%増額)が可能です。75歳まで繰り下げた場合、最大84%の増額になります。繰上げ・繰下げは老齢基礎年金と別々に選択できます。

詳しくは老齢厚生年金とは年金繰下げ・繰上げ受給のメリット・デメリットをご覧ください。

障害厚生年金|1〜3級の保障

障害厚生年金は、厚生年金に加入中の病気やケガが原因で障害状態になった場合に支給される年金です。国民年金のみの場合(障害基礎年金:1級・2級のみ)よりも保障の範囲が広いのが特徴です。

受給要件

  • 初診日に厚生年金の被保険者であること
  • 初診日の前日時点で、保険料納付要件を満たしていること(直近1年間に未納がない、または全期間の3分の2以上が納付済み)
  • 障害認定日(初診日から1年6か月後)に障害等級1級〜3級に該当すること

給付の種類

  • 1級:報酬比例部分 × 1.25 + 配偶者加給年金。障害基礎年金1級も併せて支給
  • 2級:報酬比例部分 + 配偶者加給年金。障害基礎年金2級も併せて支給
  • 3級:報酬比例部分のみ(最低保障額あり)。障害基礎年金は支給されない
  • 障害手当金:3級より軽い障害が残った場合の一時金(報酬比例部分の2年分)

3級と障害手当金は厚生年金独自の給付であり、国民年金だけでは受けられない保障です。これは厚生年金に加入する大きなメリットの一つです。

遺族厚生年金|万一のときの家族保障

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者(または老齢厚生年金の受給権者など)が亡くなった場合に、遺族に支給される年金です。

受給できる遺族の範囲と優先順位

  1. 配偶者・子(子は18歳到達年度末まで、または障害等級1・2級の20歳未満)
  2. 父母
  3. 祖父母

夫・父母・祖父母は、死亡時に55歳以上であることが要件で、支給は60歳からとなります(夫が遺族基礎年金を受給中の場合を除く)。最も優先順位の高い遺族のみが受給でき、後順位の人には支給されません。

年金額

遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。被保険者期間が300か月(25年)未満の場合は300か月とみなして計算されます(短期要件の場合)。

子のある配偶者の場合、遺族基礎年金も併せて受給できるため、遺族厚生年金と合わせた保障額はかなり手厚くなります。

中高齢寡婦加算

子のいない40歳以上65歳未満の妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(年約61万円)が加算されます。65歳以降は自分の老齢基礎年金に切り替わるため、中高齢寡婦加算は打ち切られます。

国民年金との違い|1階と2階の比較

厚生年金と国民年金は同じ公的年金ですが、仕組みや給付内容に大きな違いがあります。

比較項目 国民年金(1階) 厚生年金(2階)
対象者 自営業・学生・無職など 会社員・公務員
保険料 定額(月16,980円・2024年度) 報酬比例(18.3%・労使折半)
老齢年金 定額(満額 年約81万円) 基礎年金 + 報酬比例部分
障害年金 1級・2級のみ 1級〜3級 + 障害手当金
遺族年金 子のある配偶者・子のみ 配偶者・子・父母・孫・祖父母
第3号被保険者 対象外 扶養配偶者の保険料負担なし

国民年金だけの場合と比べ、厚生年金に加入することで老後の年金額は大きく増えます。厚生労働省の統計によると、老齢厚生年金の平均受給月額は約14万円、老齢基礎年金のみでは約5.6万円と、月額で約8万円の差があります。

厚生年金基金と企業年金|3階部分の仕組み

厚生年金の「2階」の上に、さらに上乗せする「3階部分」として、かつては厚生年金基金が多くの企業で運営されていました。

厚生年金基金の歴史と現状

厚生年金基金はに創設された企業年金制度で、厚生年金の一部(代行部分)を国に代わって運用しつつ、企業独自の上乗せ給付を行うものでした。ピーク時には約1,800基金、加入者約1,200万人に達しましたが、運用環境の悪化により多くの基金が代行割れ(預かった年金資産が代行すべき給付額を下回る状態)に陥りました。

の法改正により、新規設立は禁止され、既存の基金も解散または他の企業年金への移行が進められています。

現在の主な企業年金

  • 確定給付企業年金(DB):将来の給付額があらかじめ決まっている。運用リスクは企業が負う
  • 確定拠出年金・企業型(DC):掛金は確定しているが、運用成果により給付額が変動。運用リスクは個人が負う
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):個人が任意で加入。厚生年金加入者も月12,000〜23,000円まで拠出可能

厚生年金に加入している人は、企業年金やiDeCoを活用することで、3階建て・4階建ての年金体制を構築できます。

在職老齢年金|働きながら年金を受け取る

在職老齢年金は、60歳以降も厚生年金に加入しながら働く人が老齢厚生年金を受け取る際に、年金額が減額される仕組みです。

支給停止の基準

4月の改正以降、65歳未満・65歳以上ともに基準額が統一されました。

在職老齢年金の支給停止基準

「基本月額(年金の月額)+ 総報酬月額相当額」が50万円を超えた場合、超えた額の半分が支給停止

たとえば年金月額が10万円、給与+賞与の月額換算が45万円の場合、合計55万円なので超過額5万円の半分(2.5万円)が支給停止となり、年金は月額7.5万円に減ります。

注意点

  • 支給停止されるのは老齢厚生年金の報酬比例部分のみ。老齢基礎年金は全額支給されます
  • 在職中に納めた保険料は、退職時または70歳到達時に年金額に反映されます(在職定時改定により65歳以降は毎年10月に反映)
  • 繰下げ受給を選択した場合、支給停止相当額は繰下げ増額の対象外となります

パート・短時間労働者の適用拡大

厚生年金の適用対象は段階的に拡大されており、パートやアルバイトでも加入できるケースが増えています。

現在の適用要件

短時間労働者が厚生年金に加入するには、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)
  • 2か月を超える雇用見込み
  • 学生でないこと(休学中・夜間学生は除く)

適用拡大のスケジュール

企業規模要件は段階的に引き下げられてきました。

  • 10月〜:従業員501人以上の企業
  • 10月〜:従業員101人以上の企業
  • 10月〜:従業員51人以上の企業

今後の制度改革では、企業規模要件の撤廃(全事業所への適用)や、週20時間・月額8.8万円といった要件のさらなる引き下げも検討されています。

加入のメリットとデメリット

パートで厚生年金に加入すると、手取りは減りますが、将来の年金額が増え、障害年金・遺族年金の保障も手厚くなります。いわゆる「106万円の壁」を超えるかどうかは、目先の手取り減だけでなく、生涯の年金受取額で考えることが重要です。

年金制度改革の最新動向【2024〜2026】

公的年金は5年ごとの財政検証をもとに制度改革が議論されます。の財政検証結果を踏まえ、以下のような改革が検討・実施されています。

主な改革テーマ

  • 適用拡大のさらなる推進:企業規模要件の撤廃、個人事業所の非適用業種の解消が議論されている
  • 在職老齢年金の見直し:基準額のさらなる引き上げ、または制度自体の廃止も選択肢として検討
  • 基礎年金の給付水準の底上げ:マクロ経済スライドの調整期間短縮による基礎年金の目減り防止策
  • 第3号被保険者制度の見直し:共働き世帯の増加を踏まえた制度の在り方が議論されている
  • 被保険者期間の上限引き上げ:現行の70歳上限を引き上げ、長く働く人の年金を増やす案

マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドは、現役世代の減少と平均寿命の伸びを年金額の改定に反映させる仕組みです。物価や賃金が上昇しても、スライド調整率の分だけ年金の伸びを抑制します。デフレ経済下では発動しにくい仕組みでしたが、からは「キャリーオーバー制度」が導入され、未調整分を翌年度以降に繰り越して調整する形になっています。

制度改革の方向次第で将来の年金受取額は変わるため、最新情報を把握しておくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

厚生年金は自営業者でも加入できますか?
個人事業主やフリーランスは原則加入できません。ただし法人を設立して役員報酬を受け取れば、加入義務が生じます。国民年金だけでは老後の年金額が少ないと感じる場合、iDeCoや国民年金基金で上乗せする方法もあります。
厚生年金と社会保険の違いは何ですか?
「社会保険」は通常、厚生年金保険と健康保険のセットを指す用語です。広義には雇用保険や労災保険を含む場合もあります。厚生年金は社会保険の一部であり、健康保険とセットで加入・脱退します。
厚生年金の受給額を増やすにはどうすればよいですか?
主な方法は3つあります。(1) 長く働いて被保険者期間を延ばす、(2) 給与(標準報酬月額)を上げる、(3) 受給開始を65歳以降に繰り下げる(最大75歳まで・84%増額)。特に繰下げ受給は、他の収入や貯蓄でつなげるなら効果的です。
パートで厚生年金に入ると手取りは減りますか?
保険料の本人負担分(報酬の約9.15%)が給与から天引きされるため、目先の手取りは減ります。しかし会社が同額を負担するため、実質的に報酬の18.3%分が年金に積み立てられます。将来の年金受取額の増加、障害年金・遺族年金の保障拡大、健康保険の傷病手当金が受けられるなど、長期的にはメリットが大きいとされています。
厚生年金に加入しながら働くと年金が減ると聞きました。本当ですか?
「在職老齢年金」の仕組みにより、年金月額と報酬月額の合計が50万円を超えると、超過分の半分が支給停止になります。ただし支給停止されるのは老齢厚生年金の報酬比例部分のみで、老齢基礎年金は全額支給されます。停止された年金は繰り延べではなく、その期間は受給できません。
会社を辞めたら厚生年金はどうなりますか?
退職すると厚生年金の資格を喪失し、国民年金の第1号被保険者への切替手続きが必要です(退職後14日以内に市区町村で手続き)。それまでに納めた厚生年金保険料は将来の年金額にきちんと反映されます。再就職して厚生年金に再加入すれば、通算して年金額が計算されます。

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本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。

最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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