老齢厚生年金とは
受給要件・計算方法・繰下げ
老齢厚生年金は厚生年金の加入期間が1ヶ月以上あり、老齢基礎年金の受給資格(10年以上)を満たした人が65歳から受給できる年金
老後資金を調べたあとに
老後のお金を調べたあと、安心して暮らし続けるために見る3つのこと
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相談者の声
老後資金を調べた人に近い相談者の声
老後資金を調べている方は、年金額だけでなく、いつまで働くか、医療・介護費、楽しみに使えるお金を残せるかまで確認しています。
K.Tさん(50代・男性・会社員)
★★★★★ 退職時期・年金・住宅ローン
「いつまで働くかを、不安ではなく数字で決められました」
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※相談内容をもとに個人が特定されない形で要約した例です。実際の提案内容は家計・制度・時期により異なります。
無料相談の流れ
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STEP1. 予約
希望日時を選んで、無料相談を予約します(Zoom30分から)。
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STEP2. 年金・資産・生活費の確認
年金見込額、退職金、貯蓄、住宅費、毎月の生活費を確認します。
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STEP3. 医療・介護・楽しみの予算を整理
不足額だけでなく、病気、介護、旅行や趣味に使える余白も見ます。
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STEP4. いつまで働くかと使ってよいお金を整理
働き方、取り崩し、保険、住み替えの順番を確認します。
相談を担当するFP
増岡 真奈美 (ますおか まなみ)
女性ならではの視点で、将来に向けた資産形成やライフプランをサポート。 年金・医療費・介護費・楽しみの予算を同じ年表で整理します。
目次(12セクション)
制度概要と受給要件
老齢厚生年金は、会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が老後に受け取る年金です。国民全員に共通の老齢基礎年金(1階部分)の上に、報酬に応じた老齢厚生年金(2階部分)が上乗せされる「2階建て構造」になっています。
受給に必要な2つの条件
以下の2つの条件を両方満たすと、原則65歳から受給できます。
- 厚生年金の被保険者期間が1ヶ月以上あること
- 老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間+免除期間等)が10年(120ヶ月)以上あること
受給資格期間の10年には、国民年金の保険料納付済期間・免除期間・合算対象期間(カラ期間)が含まれます。2017年8月の法改正で、それまでの25年から10年に短縮されました。
老齢基礎年金との違い
| 老齢基礎年金(1階) | 老齢厚生年金(2階) | |
|---|---|---|
| 対象者 | 国民年金加入者全員 | 厚生年金加入者(会社員・公務員) |
| 金額の決まり方 | 定額(加入月数に比例) | 報酬比例(給与・賞与に連動) |
| 満額の目安 | 月約68,000円(40年加入) | 平均的な会社員で月約9〜10万円 |
| 保険料 | 定額(月16,980円・2025年度) | 標準報酬月額 × 18.3%(労使折半) |
年金の請求手続き
65歳の誕生月の初め頃に日本年金機構から「年金請求書(ハガキ形式)」が届きます。必要事項を記入して返送するか、年金事務所・街角の年金相談センターで手続きします。マイナポータルからの電子申請も可能です。請求が遅れても時効は5年間あり、過去分をまとめて受け取れます。
特別支給の老齢厚生年金
かつて厚生年金の支給開始年齢は60歳でしたが、1994年・2000年の法改正で段階的に65歳へ引き上げられました。この移行期間中に60〜64歳で受け取れるのが特別支給の老齢厚生年金です。
対象者の要件
- 生年月日が男性:1961年(昭和36年)4月1日以前、女性:1966年(昭和41年)4月1日以前
- 厚生年金の被保険者期間が1年以上
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている(10年以上)
上記に該当しない方(男性1961年4月2日以降生まれなど)は、特別支給の対象外です。65歳からの本来の老齢厚生年金のみとなります。
報酬比例部分と定額部分
特別支給の老齢厚生年金は「報酬比例部分」と「定額部分」の2つで構成されます。生年月日により、定額部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられ、最終的には報酬比例部分のみの支給となっています。
請求しないともらえない
特別支給の老齢厚生年金は「繰下げ」の対象外です。請求を遅らせても増額されず、権利発生から5年を過ぎると時効で受け取れなくなります。対象者には年金機構から案内ハガキが届くので、届いたらすぐに手続きしましょう。
報酬比例部分の計算方法
老齢厚生年金の中核となる報酬比例部分は、現役時代の給与・賞与と加入月数で決まります。
基本の計算式
2003年4月以降に加入した期間(総報酬制)の計算式は次のとおりです。
報酬比例部分 = 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 加入月数
2003年3月以前の期間
2003年3月以前は賞与が計算に含まれない「平均標準報酬月額」方式でした。この期間は別の乗率(7.125/1,000)で計算し、2003年4月以降の部分と合算します。
A:平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 2003年3月以前の加入月数
B:平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 2003年4月以降の加入月数
報酬比例部分 = A + B
計算例
たとえば、平均標準報酬額が43万円で2003年4月以降に38年間(456ヶ月)加入した場合:
430,000円 × 5.481/1,000 × 456ヶ月 = 年額 約107万4,000円(月額 約89,500円)
実際には再評価率(過去の賃金を現在価値に換算する係数)やスライド率が適用されるため、正確な金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しましょう。
経過的加算の仕組み
経過的加算は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の間に生じる差額を補填する加算です。名前のとおり「経過措置」として設けられています。
なぜ経過的加算があるのか
老齢基礎年金は20歳〜60歳の40年間(480ヶ月)を上限に計算されます。一方、厚生年金には20歳未満や60歳以降の加入期間もあります。この差を埋めるのが経過的加算です。
経過的加算が大きくなるケース
- 20歳前から就職して厚生年金に加入していた方
- 60歳以降も厚生年金に加入して働いている方
- 学生時代に国民年金の保険料を未納にしていた方
60歳以降に厚生年金に加入して働くと、老齢基礎年金は増えませんが、経過的加算が増加します。65歳以降も短時間勤務で厚生年金に加入すれば、在職定時改定(毎年10月)で経過的加算が自動的に反映されます。
加給年金と振替加算
加給年金は、厚生年金の「家族手当」のような加算です。一定の条件を満たすと老齢厚生年金に上乗せされます。
加給年金の受給条件
- 厚生年金の被保険者期間が20年以上あること
- 65歳到達時点(または定額部分の支給開始年齢到達時点)で、生計を維持している65歳未満の配偶者または18歳到達年度末までの子(障害がある場合は20歳未満)がいること
加給年金の金額(2025年度)
| 対象者 | 加算額(年額) |
|---|---|
| 配偶者 | 約234,800円 + 特別加算(受給者の生年月日による。最大約173,300円) |
| 第1子・第2子 | 各 約234,800円 |
| 第3子以降 | 各 約78,300円 |
配偶者加給年金は、配偶者が65歳になると打ち切られます。
振替加算とは
配偶者が65歳になって加給年金が打ち切られると、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算が付きます。振替加算の額は配偶者の生年月日により異なり、若い世代ほど少額です。1966年(昭和41年)4月2日以降に生まれた方には振替加算はありません。
在職老齢年金(減額の仕組み)
65歳以降も厚生年金に加入しながら働くと、給与・賞与の額に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止(減額)される場合があります。これが在職老齢年金制度です。
支給停止の基準額
2025年度の支給停止調整額は50万円です。次の計算で判定します。
基本月額(年金月額)+ 総報酬月額相当額(月給 + 直近1年間の賞与÷12)
→ 合計が50万円以下なら全額支給
→ 合計が50万円超なら、超過分の半額が年金から減額
減額されるのは老齢厚生年金の報酬比例部分のみで、老齢基礎年金は減額されません。経過的加算も減額対象外です。
在職定時改定(2022年4月〜)
65歳以降に厚生年金に加入して働くと、毎年10月に年金額が再計算されます。以前は退職するまで反映されなかった加入実績が、毎年自動的に年金額に上乗せされるようになりました。
60〜64歳の在職老齢年金
特別支給の老齢厚生年金を受けている方も同じ基準(50万円)で支給停止が適用されます。2022年4月の改正で、60〜64歳の基準額も28万円から47万円に引き上げられ(その後50万円に改定)、より多くの方が減額なしで年金を受給できるようになりました。
繰上げ受給のメリット・デメリット
老齢厚生年金は原則65歳からですが、60歳から64歳の間に前倒しで受給を開始することもできます。これが繰上げ受給です。
減額率
繰上げた月数 × 0.4%が減額されます(1962年4月2日以降生まれの方)。
| 受給開始年齢 | 繰上げ月数 | 減額率 | 65歳時を100とした割合 |
|---|---|---|---|
| 60歳0ヶ月 | 60ヶ月 | 24.0% | 76.0% |
| 61歳0ヶ月 | 48ヶ月 | 19.2% | 80.8% |
| 62歳0ヶ月 | 36ヶ月 | 14.4% | 85.6% |
| 63歳0ヶ月 | 24ヶ月 | 9.6% | 90.4% |
| 64歳0ヶ月 | 12ヶ月 | 4.8% | 95.2% |
繰上げ受給の注意点
- 減額率は一生涯変わらない(65歳以降も減額されたまま)
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げる必要がある(片方だけの繰上げは不可)
- 繰上げ請求後は取り消しできない
- 障害基礎年金の請求ができなくなる場合がある
- 寡婦年金の受給権がなくなる
- 国民年金の任意加入ができなくなる
繰上げが有利になるケース
健康上の不安がある場合や、65歳までの収入が極端に少なく生活費に充てたい場合など、早めに受け取るメリットが減額デメリットを上回ることがあります。損益分岐点は概ね80歳前後です。
繰下げ受給の増額率
受給開始を66歳以降に遅らせると、月0.7%ずつ年金が増額されます。最大75歳まで繰下げ可能で、最大84%の増額になります。
増額率の一覧
| 受給開始年齢 | 繰下げ月数 | 増額率 | 65歳時を100とした割合 |
|---|---|---|---|
| 66歳0ヶ月 | 12ヶ月 | 8.4% | 108.4% |
| 67歳0ヶ月 | 24ヶ月 | 16.8% | 116.8% |
| 68歳0ヶ月 | 36ヶ月 | 25.2% | 125.2% |
| 70歳0ヶ月 | 60ヶ月 | 42.0% | 142.0% |
| 75歳0ヶ月 | 120ヶ月 | 84.0% | 184.0% |
基礎年金と厚生年金は別々に繰下げ可能
繰上げと異なり、繰下げでは老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々の時期に開始できます。たとえば「基礎年金は65歳から受け取り、厚生年金だけ70歳まで繰下げる」という選択も可能です。
繰下げの注意点
- 加給年金・振替加算は繰下げ待機中も増額されず、待機期間中は受け取れない
- 繰下げで増えた年金は税金・社会保険料も増える
- 損益分岐点は概ね繰下げ開始から約12年後(70歳開始なら82歳前後)
- 繰下げ待機中に亡くなった場合、遺族は65歳時点の年金額で過去分を請求できる(5年の時効あり)
詳しくは年金 繰下げ・繰上げ受給のメリット・デメリットをご覧ください。
年金と退職金の最適受取戦略
退職金の受取方法と年金の開始時期を組み合わせることで、手取り総額に大きな差が生まれます。退職所得控除と公的年金等控除の仕組みを理解し、最適な受取順序を考えましょう。
退職金の受取方法は3パターン
- 一時金:退職所得控除が適用され、税負担が軽い。勤続20年超なら「70万円 × (勤続年数 − 20年)+ 800万円」が控除
- 年金形式:公的年金等控除が使えるが、他の年金と合算されるため控除枠を超えやすい
- 併用(一部を一時金+残りを年金):両方の控除を活用でき、最も有利になるケースが多い
iDeCo・企業DCとの受取順序
退職所得控除は「退職手当等」の合計に適用されます。iDeCoの一時金と退職金を同じ年に受け取ると控除が合算されるため、受取年をずらすことで控除を2回活用する方法があります(ただし2022年改正で19年ルール→5年ルールに変更点あり)。
60〜65歳の「収入の谷間」対策
60歳で定年退職し、65歳の年金開始まで収入が空白になるケースがあります。この間を埋める選択肢として:
- 再雇用・再就職で給与を得る(厚生年金にも加入でき、年金額が増える)
- 退職金の一部を年金形式で受け取る
- iDeCo・企業DCを60歳から受給する
- 個人年金保険を60歳から受け取る
これらの組み合わせで税負担を最小化しつつ、生活費を確保する設計がFP相談で最もよく扱うテーマの一つです。
離婚分割(合意分割・3号分割)
離婚した場合、婚姻期間中の厚生年金の記録(標準報酬)を分割できる制度があります。分割されるのは年金額そのものではなく、年金の計算基礎となる記録です。
合意分割
- 2007年4月1日以降に離婚した場合に利用可能
- 婚姻期間中の厚生年金記録を最大2分の1まで分割
- 当事者間の合意または家庭裁判所の決定が必要
- 離婚後2年以内に年金事務所で請求
3号分割
- 2008年4月以降の第3号被保険者期間が対象
- 相手方の合意は不要。届出のみで自動的に2分の1に分割
- 離婚後2年以内に請求
- 2008年3月以前の期間については合意分割が必要
分割の効果と注意点
分割を受けた側は、自分が厚生年金に加入していたのと同等の記録を得ます。ただし、分割後の記録に基づく年金を受給するには、自身が老齢基礎年金の受給資格(10年以上)を満たしている必要があります。
年金分割の情報通知書は離婚前でも年金事務所で取得でき、分割後の見込額を事前に確認できます。
税金と社会保険料
老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)は雑所得として所得税・住民税の課税対象です。障害年金・遺族年金は非課税ですが、老齢年金には税金がかかる点に注意が必要です。
公的年金等控除
年金収入には「公的年金等控除」が適用されます。65歳以上の場合、控除額は以下のとおりです(他の所得1,000万円以下の場合)。
| 年金収入 | 公的年金等控除額 |
|---|---|
| 330万円以下 | 110万円 |
| 330万円超〜410万円以下 | 収入 × 25% + 27.5万円 |
| 410万円超〜770万円以下 | 収入 × 15% + 68.5万円 |
| 770万円超〜1,000万円以下 | 収入 × 5% + 145.5万円 |
| 1,000万円超 | 195.5万円(上限) |
年金収入が158万円以下(65歳以上)であれば、基礎控除48万円と公的年金等控除110万円を合わせて課税所得がゼロとなり、所得税はかかりません。
年金から天引きされるもの
年金受給額が年18万円以上の場合、以下が年金から天引き(特別徴収)されます。
- 所得税・復興特別所得税
- 住民税
- 介護保険料(65歳以上は第1号被保険者として市区町村が徴収)
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料(75歳以上)
確定申告が必要なケース
年金収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下の場合は確定申告不要制度が利用できます。ただし、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除を受けたい場合は確定申告が必要です。住民税の申告は別途必要なケースがあるため、お住まいの市区町村に確認しましょう。
よくある質問
- 老齢厚生年金と老齢基礎年金の違いは?
- 老齢基礎年金は全国民共通の定額年金(満額で月約68,000円)。老齢厚生年金は会社員・公務員期間の報酬に比例する上乗せ年金です。両方の受給資格があれば2階建てで受給できます。
- 特別支給の老齢厚生年金は誰がもらえる?
- 1961年(男性)・1966年(女性)4月1日以前に生まれ、厚生年金の加入期間が1年以上あり、受給資格期間10年以上を満たす方が60〜64歳で受給できます。対象者は年金機構から届くハガキで請求します。
- 在職老齢年金で年金が減額されるのはどんなとき?
- 65歳以上で厚生年金に加入しながら働く場合、年金月額と月給・賞与の合計が50万円(2025年度基準)を超えると、超過分の半額が年金から減額されます。基礎年金部分は減額されません。
- 繰下げ受給で年金はどれくらい増える?
- 1ヶ月あたり0.7%増額されます。70歳まで5年繰下げると42%増、75歳まで10年繰下げると84%増になります。増額率は一生涯変わりません。
- 老齢厚生年金に税金はかかる?
- 老齢厚生年金は雑所得として所得税・住民税の課税対象です。65歳以上は公的年金等控除110万円が適用され、年金収入158万円以下なら所得税はかかりません。介護保険料・国民健康保険料の算定基礎にもなります。
- 離婚したら厚生年金は分割できる?
- はい。合意分割(婚姻期間中の標準報酬を最大1/2まで分割、双方合意または裁判が必要)と3号分割(2008年4月以降の第3号被保険者期間を自動的に1/2分割、届出のみ)の2種類があります。離婚後2年以内に請求が必要です。
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最終確認日:2026-05-15
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
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