税金・節税

法人住民税は赤字でもかかる?均等割の負担と節税の選択肢

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法人住民税は赤字でも均等割が必ずかかる。

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目次(5セクション)
  1. 赤字でも均等割がかかる理由
  2. 赤字企業の負担額(資本金別の均等割額表)
  3. 法人税割はゼロになる
  4. 資本金の区分変更による節税
  5. FPに相談すべきケース

赤字でも均等割がかかる理由

法人住民税は「均等割」と「法人税割」の2つで構成されていますが、このうち均等割は法人の所得や利益とは無関係に課税されます。均等割は、法人がその自治体に事務所や事業所を構えていること自体に対して課される税金であり、行政サービスの対価という性格を持っています。

個人住民税にも同様に均等割がありますが、個人の場合は一定の所得以下であれば非課税になる仕組みがあります(詳しくは「住民税とは」を参照)。一方、法人の均等割にはそのような非課税基準がなく、赤字であっても事業を継続している限り納付義務が生じます。

つまり、法人が存在し、自治体内に事務所等を有しているという事実だけで均等割の課税対象となります。休眠届を出していない限り、たとえ売上がゼロであっても均等割は発生し続けるため、事業の継続・廃止の判断材料の一つとして認識しておく必要があります。

たとえば、飲食店を法人化して開業した1期目に売上が伸びず赤字決算となったケースでも、法人住民税の均等割は免除されません。個人事業主であれば住民税の均等割が年間5,000円程度で済むのに対し、法人化した途端に最低でも年間7万円が固定費として加わります。法人化のメリット・デメリットを判断する際には、この均等割の存在を見落とさないことが重要です。

また、均等割は事業年度の途中で事務所を新設・廃止した場合でも月割りで計算されます。たとえば事業年度の途中(4月1日から6ヶ月後の9月30日)に支店を新設した場合、その支店の所在する自治体への均等割は6ヶ月分(年額の6/12)が課税されます。1ヶ月に満たない端数は1ヶ月として切り上げるため、実質的には設置した月から課税が始まる点に注意が必要です。

赤字企業の負担額(資本金別の均等割額表)

赤字企業が負担する法人住民税は、均等割のみです。均等割の税額は「資本金等の額」と「従業員数」の2つの基準で決まり、地方税法で定められた標準税率に基づいて9段階に区分されています。

資本金等の額従業員数道府県民税市町村民税合計(年額)
1,000万円以下50人以下2万円5万円7万円
1,000万円以下50人超2万円12万円14万円
1,000万円超〜1億円以下50人以下5万円13万円18万円
1,000万円超〜1億円以下50人超5万円15万円20万円
1億円超〜10億円以下50人以下13万円16万円29万円
1億円超〜10億円以下50人超13万円40万円53万円
10億円超〜50億円以下50人以下54万円41万円95万円
10億円超〜50億円以下50人超54万円175万円229万円
50億円超50人超80万円300万円380万円

最も負担が軽いのは、資本金等の額が1,000万円以下かつ従業員数50人以下の法人で、道府県民税の均等割が年間2万円、市町村民税の均等割が年間5万円、合計で年間7万円です。資本金が1,000万円超1億円以下の場合は合計で年間18万円(従業員50人以下)となり、資本金の区分が上がるほど負担は大きくなります。均等割の各区分について詳しくは「法人住民税の均等割」で解説しています。

赤字が続いている中小企業であっても、この均等割は毎年確実に発生するコストです。複数の自治体に事務所を持つ法人は、それぞれの自治体に均等割を納める必要があるため、拠点数が増えるほど負担も比例して大きくなります。

具体例を挙げると、資本金500万円・従業員10人の小規模法人が東京都内と神奈川県内にそれぞれ事務所を構えている場合、各自治体に年間7万円ずつ、合計14万円の均等割が発生します。赤字が3年続けば均等割だけで42万円の支出となり、中小企業にとっては無視できない負担です。拠点の統廃合を含めた経営判断の際には、各拠点の均等割コストも考慮に入れるべきでしょう。

法人税割はゼロになる

法人住民税のもう一つの構成要素である法人税割は、国税である法人税の額に一定の税率を掛けて算出されます。赤字の法人は課税所得がゼロとなり、法人税額もゼロになるため、法人税割の税額も自動的にゼロとなります。

法人税割の標準税率は、道府県民税が1.0%、市町村民税が6.0%ですが、いずれも課税標準となる法人税額がゼロであれば計算結果はゼロです。これは均等割とは対照的な仕組みであり、法人税割は企業の業績に連動する応能負担の性格を持っています。法人税割の税率や計算方法について詳しくは「法人住民税の計算方法」をご覧ください。

ただし、赤字であっても繰越欠損金の控除後に課税所得が残る場合は法人税が発生し、法人税割もかかります。また、外形標準課税の対象となる資本金1億円超の法人は、事業税において所得以外の基準でも課税されるため、赤字でも法人住民税以外の税負担が生じる点に注意が必要です。

たとえば、前期に1,000万円の黒字があり当期に800万円の赤字が出た法人の場合、繰越欠損金を使えば当期の課税所得はゼロとなり法人税割もゼロです。しかし、前期に2,000万円の黒字があり当期に1,500万円の赤字だが繰越欠損金が1,200万円しかない場合、当期に課税所得300万円が残り法人税が発生するため、法人税割も計算に含まれます。赤字=法人税割ゼロとは限らないため、繰越欠損金の残高管理が重要です。

資本金の区分変更による節税

法人住民税の均等割は資本金等の額で区分が決まるため、資本金を減額する「減資」を行うことで均等割の負担を下げられる場合があります。たとえば、資本金を1億円超から1億円以下に減資すると、均等割の区分が下がり、年間の固定負担が大幅に軽減されます。

近年、上場企業を含む大企業が資本金を1億円以下に減資する事例が注目されています。資本金1億円以下は税法上の「中小法人」に該当し、均等割の軽減だけでなく、法人税の軽減税率の適用、外形標準課税の対象外となるなど、複数の税務メリットを得られます。

ただし、減資には株主総会の特別決議が必要であり、登記費用や手続きコストも発生します。また、資本金が小さくなることで取引先からの信用力に影響が出る可能性もあるため、税務上のメリットと経営上のデメリットを総合的に判断することが重要です。減資を検討する場合は、税理士や専門家に相談のうえ慎重に進めることをおすすめします。

具体的な節税効果を試算してみましょう。資本金3億円・従業員40人の法人が資本金を9,000万円に減資した場合、均等割は「1億円超〜10億円以下・50人以下」の年間29万円から「1,000万円超〜1億円以下・50人以下」の年間18万円に下がり、年間11万円の削減です。さらに外形標準課税の対象外となることで事業税の負担も軽減されるため、トータルの節税効果はそれ以上になることがあります。

なお、2015年度税制改正以降、均等割の判定に用いる「資本金等の額」は、資本金と資本準備金の合計額と、資本金に資本剰余金を加えた額のいずれか大きい方とされています。そのため、形式的に資本金を減らしても資本剰余金が多ければ均等割の区分が下がらない場合があります。減資の実効性を正しく判断するためには、貸借対照表の純資産の部の構成を正確に把握する必要があります。申告手続きの詳細は「法人住民税の申告・納付」で解説しています。

💬 相談事例から

📋 独立起業したAさん(法人設立済み)

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法人住民税は税理士の専門領域ですが、法人経営者の多くは個人の家計と法人の財務が密接に結びついています。役員報酬の設定、法人からの借入、配当の受取、退職金の積立など、法人と個人のお金の流れを総合的に設計することで、法人住民税を含むトータルの税負担を最適化できる可能性があります。

特に、赤字が続いて法人の存続を迷っている経営者や、法人化したばかりで均等割の負担に驚いている方は、FPに相談することで法人・個人双方の視点から最適な選択肢を整理できます。法人を維持するコストと廃業した場合の影響、役員報酬の見直しによる所得税・社会保険料への影響、小規模企業共済やiDeCoを活用した退職金準備と節税効果など、経営者ならではの複合的な課題をワンストップで相談できるのがFPの強みです。

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相談を担当するFP

ファイナンシャルプランナー 三谷 望

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最終確認日:2026-05-14

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本ページの情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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