年金制度・基礎知識

年金とは
公的年金・私的年金の全体像

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

年金は、老後・障害・死亡に備える社会保険制度で、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てが基本

記事の答えを確認した次に

年金のこと、結局どこから決めればいい?

決めるタイミング: 制度を一通り読んでも、自分に必要な手続きや判断が絞れないとき。

相談で繰り返される本音

  • 制度の名前が多く、自分に関係するものが分からない
  • 親世代の話と今の制度が違いそうで不安
  • 金額、働き方、受け取り時期を一緒に考えたい

初回で口頭整理できること

初回は、いま迷っていることを伺い、決める順番と確認が必要な数字を口頭で整理します。

その次に分けること

追加計算や専門家の確認が必要な論点は、次に集める資料と確認先を分けます。

初回の範囲: 初回で資料の完成、制度の適用判定、手続き代行、金融商品の見積り・申込みは行いません。

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(13セクション)
  1. 年金とは|日本の年金制度の全体像
  2. 公的年金の種類と対象者
  3. 国民年金(基礎年金)の仕組み
  4. 厚生年金の仕組み|報酬比例の計算方法
  5. 年金はいつからもらえる?繰上げ・繰下げの損益分岐
  6. 年金保険料はいくら?納付額と節約方法
  7. 年金だけで老後は足りる?世帯パターン別シミュレーション
  8. 私的年金・企業年金の種類と選び方
  9. 遺族年金の仕組み|万一のときに家族が受け取れる金額
  10. 障害年金の仕組み|病気・ケガで働けなくなったとき
  11. 年金の受給額を増やす7つの方法
  12. 年金に関する手続きチェックリスト|届出忘れを防ぐ
  13. よくある質問

年金とは|日本の年金制度の全体像

年金とは、老後・障害・死亡などのリスクに備えるための社会保障制度です。日本の年金は「3階建て」と呼ばれ、以下の構造になっています。

年金の3階建て構造

  • 1階:国民年金(基礎年金) — 20歳以上60歳未満の全国民が加入。満額で月約7.1万円(2026年度)
  • 2階:厚生年金 — 会社員・公務員が加入。報酬に比例して上乗せ
  • 3階:私的年金 — iDeCo・企業型DC・企業年金・個人年金保険など。任意で上乗せ

この3階建て構造のうち、1階と2階が「公的年金」、3階が「私的年金」にあたります。公的年金は国が運営し、物価や賃金に連動して給付額が調整されるのが特徴です。少子高齢化の影響で「将来もらえなくなるのでは?」と不安に感じる方も多いですが、賦課方式(現役世代の保険料で高齢者を支える方式)と積立金の運用により、制度として持続する仕組みが整えられています。

公的年金の種類と対象者

公的年金には老齢年金・遺族年金・障害年金の3種類があります。多くの方が「年金」と聞いて想像するのは老齢年金ですが、万一のときに家族を守る遺族年金や、病気・ケガで働けなくなったときの障害年金も公的年金の重要な役割です。

種類支給される場面国民年金(基礎年金)厚生年金
老齢年金65歳以降の老後生活老齢基礎年金老齢厚生年金
遺族年金被保険者が亡くなったとき遺族基礎年金遺族厚生年金
障害年金病気・ケガで障害が残ったとき障害基礎年金障害厚生年金

いずれも、保険料の納付要件を満たしていないと受給できません。未納期間が長いと、老齢年金だけでなく遺族年金・障害年金も受け取れなくなるリスクがあるため注意が必要です。

国民年金(基礎年金)の仕組み

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金制度です。加入者は「被保険者」として3つの種別に分かれます。

種別対象者保険料の納め方
第1号被保険者自営業・フリーランス・学生・無職自分で納付(月17,920円・2026年度)
第2号被保険者会社員・公務員厚生年金保険料に含まれ給与天引き
第3号被保険者第2号の配偶者(年収130万円未満)保険料負担なし

老齢基礎年金の満額は月70,608円(年847,300円・2026年度)で、40年間(480ヶ月)すべて納付した場合に受け取れます。未納や免除の期間があると、その分だけ減額されます。

受給額の計算式

老齢基礎年金(年額)= 847,300円 ×(保険料納付月数 ÷ 480ヶ月)

例:納付期間が30年(360ヶ月)の場合 → 847,300円 × 360/480 = 年635,475円(月約52,956円)

厚生年金の仕組み|報酬比例の計算方法

厚生年金は、会社員・公務員が国民年金に上乗せして加入する年金です。受給額は現役時代の報酬(給与・賞与)に比例するため、収入が高いほど多く受け取れます。

厚生年金の受給額(概算式)

老齢厚生年金(年額)≒ 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数

例:平均月収35万円で38年間加入 → 350,000 × 5.481/1000 × 456ヶ月 = 年約87.4万円(月約7.3万円)

上記に老齢基礎年金(2026年度の満額なら月70,608円)を加えた合計が、会社員の老齢年金になります。平均月収35万円・38年加入の例では、月約14.4万円が目安です。

平均月収別・厚生年金の受給額シミュレーション(38年加入)
平均月収厚生年金部分(月額)基礎年金との合計(月額)
25万円約5.2万円約12.3万円
35万円約7.3万円約14.4万円
45万円約9.4万円約16.4万円
55万円約11.5万円約18.5万円

※平均月収を平均標準報酬額とみなし、厚生年金部分=平均月収×5.481/1000×456ヶ月÷12、合計=厚生年金部分+2026年度の老齢基礎年金の満額(月70,608円)で計算した目安です。出典: 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(令和8年1月23日)、2026年10月確認。

保険料は標準報酬月額の18.3%を労使で折半します(本人負担は9.15%)。標準報酬月額には上限(65万円)があるため、月収がそれを超えても保険料・受給額ともに頭打ちになります。

年金はいつからもらえる?繰上げ・繰下げの損益分岐

公的年金の受給開始は原則65歳です。ただし、60歳から75歳の間で自由に選べます。

選択肢開始年齢増減率具体例(65歳で月15万円の場合)
繰上げ受給60〜64歳月0.4%減額(最大24%減)60歳開始 → 月11.4万円
通常受給65歳増減なし月15万円
繰下げ受給66〜75歳月0.7%増額(最大84%増)70歳開始 → 月21.3万円

繰下げは1ヶ月単位で選べるため、「67歳3ヶ月から開始」といった柔軟な設計が可能です。

損益分岐年齢の目安

  • 繰上げ(60歳開始):76歳10ヶ月頃に通常受給の累計額を下回り始める
  • 繰下げ(70歳開始):81歳10ヶ月頃に通常受給の累計額を上回り始める

平均寿命(男性81歳・女性87歳)を考慮すると、特に女性は繰下げの恩恵を受けやすいといえます。ただし、加給年金や税金・社会保険料の増加も考慮が必要なため、一律に「繰下げが得」とは言い切れません。

詳しくは年金は何歳からもらえる?および繰下げ・繰上げ受給のメリット・デメリットで解説しています。

年金保険料はいくら?納付額と節約方法

2026年度の年金保険料
制度月額保険料年間保険料備考
国民年金17,920円215,040円全額が社会保険料控除の対象
厚生年金(月収30万円の場合)約27,450円(本人負担分)約329,400円給与天引き・労使折半

国民年金保険料の節約方法

  • 2年前納(口座振替):17,370円の割引(令和8・9年度分)。まとまった金額が必要だが最も効率的
  • 1年前納(口座振替):4,510円の割引
  • 6ヶ月前納(口座振替):1,220円の割引
  • クレジットカード払い:ポイント還元分がお得(ただし口座振替より割引額は小さい)
  • 付加年金:月400円の追加で、将来「200円 × 納付月数」が毎年上乗せ。2年で元が取れる

自営業の方は国民年金保険料、会社員の方は厚生年金保険料で詳しく解説しています。

年金だけで老後は足りる?世帯パターン別シミュレーション

総務省「家計調査」によると、65歳以上夫婦の平均支出は月約27万円、単身世帯で月約16万円です。年金の受給額と比較すると、世帯パターンによって過不足が大きく異なります。

世帯パターン別:年金受給額と毎月の過不足
世帯パターン年金月額(目安)毎月の過不足65〜90歳の累計不足額
夫婦とも厚生年金約26万円約▲1万円約▲300万円
夫・厚生年金+妻・国民年金約21万円約▲6万円約▲1,800万円
夫婦とも国民年金約14.1万円約▲13万円約▲3,900万円
単身・厚生年金約15万円約▲1万円約▲300万円
単身・国民年金のみ約7.1万円約▲9万円約▲2,700万円

自営業夫婦の場合は特に、iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済等で上乗せ対策が重要です。老後資金の全体設計は老後資金はいくら必要?をご覧ください。

私的年金・企業年金の種類と選び方

公的年金だけでは不足する分を補うのが、3階部分の私的年金です。代表的な制度を比較します。

主な私的年金・企業年金の比較
制度加入対象拠出上限(月額)税制メリット受取方法
iDeCo(個人型DC)20歳以上65歳未満1.2万〜6.8万円(属性別)掛金全額所得控除+運用益非課税一時金 or 年金
企業型DC導入企業の社員5.5万円(他制度なし)掛金は給与扱いされない一時金 or 年金
確定給付企業年金(DB)導入企業の社員企業が全額拠出受取時に退職所得控除年金 or 一時金
国民年金基金第1号被保険者6.8万円(iDeCoと合算)掛金全額所得控除年金
小規模企業共済個人事業主・小規模企業役員7万円掛金全額所得控除一時金 or 年金
個人年金保険誰でも上限なし年間最大4万円の控除年金

属性別おすすめの上乗せ戦略

  • 会社員(企業年金なし):iDeCo(月2.3万円まで)+ NISAで運用
  • 会社員(企業型DCあり):マッチング拠出 or iDeCo併用 + NISA
  • 公務員:iDeCo(月1.2万円)+ NISA
  • 自営業・フリーランス:iDeCo(月6.8万円まで)+ 国民年金基金 or 小規模企業共済 + NISA
  • 専業主婦(第3号):iDeCo(月2.3万円まで)+ NISA

遺族年金の仕組み|万一のときに家族が受け取れる金額

被保険者が亡くなったとき、残された家族に支給されるのが遺族年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、加入していた制度と家族構成によって受給額が変わります。

遺族年金の受給額(2026年度)
種類受給対象年額目安
遺族基礎年金子のある配偶者 or 子約84.7万円 + 子の加算(第1子・第2子 各約24.4万円)
遺族厚生年金配偶者・子・父母・孫・祖父母老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4

例えば、厚生年金に加入していた夫が亡くなり、妻と子ども2人が残された場合、遺族基礎年金(約133.5万円)+ 遺族厚生年金の合計を受け取れます。ただし、遺族基礎年金は子が18歳到達年度末を過ぎると終了する点に注意が必要です。

詳しくは遺族年金の受給条件と金額をご覧ください。

障害年金の仕組み|病気・ケガで働けなくなったとき

病気やケガにより一定の障害状態になったとき、障害基礎年金または障害厚生年金が支給されます。「障害」というと身体障害を想像しがちですが、うつ病・がん・糖尿病など幅広い疾病が対象になり得ます。

障害年金の等級と受給額(2026年度)
等級障害基礎年金(年額)障害厚生年金
1級約105.9万円 + 子の加算報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者加給
2級約84.7万円 + 子の加算報酬比例の年金額 + 配偶者加給
3級(なし)報酬比例の年金額(最低保障あり)

障害年金の受給要件(3つの要件すべて必要)

  • 初診日要件:初診日に年金制度に加入していること
  • 保険料納付要件:初診日の前日までに、直近1年間に未納がないか、全体の2/3以上を納付済み
  • 障害認定日要件:初診日から1年6ヶ月後(障害認定日)に一定の障害状態にあること

障害年金は請求しないと支給されません。自分や家族が該当する可能性がある場合は、年金事務所や社会保険労務士に早めに相談することをおすすめします。

年金の受給額を増やす7つの方法

将来の年金受給額を増やすには、以下の方法があります。自分の状況に合った対策を組み合わせましょう。

年金の受給額を増やす7つの方法

  1. 未納期間を埋める — 過去10年以内の未納分は「後納制度」で追納可能。免除期間も追納で満額に近づく
  2. 60歳以降も任意加入する — 納付期間が40年に満たない場合、60〜65歳の間に国民年金に任意加入して満額を目指す
  3. 付加年金に加入する — 月400円の追加で、「200円 × 納付月数」が毎年上乗せ。第1号被保険者限定。2年で元が取れる
  4. 繰下げ受給を選ぶ — 受給開始を遅らせるほど増額(月0.7%、最大84%増)。長生きリスクへの備え
  5. 厚生年金の加入期間を延ばす — 70歳まで働いて厚生年金に加入し続ければ、その分だけ報酬比例部分が増える
  6. iDeCoで上乗せする — 掛金全額が所得控除になり、運用益も非課税。「自分で作る年金」の代表格
  7. 国民年金基金に加入する — 第1号被保険者が終身年金を上乗せできる制度。掛金は全額所得控除の対象

年金に関する手続きチェックリスト|届出忘れを防ぐ

年金は「届出主義」のため、ライフイベントごとに手続きが必要です。届出を忘れると年金が減額されたり、受給資格を失うこともあります。以下のチェックリストで確認しましょう。

ライフイベント別:年金の届出チェックリスト
ライフイベント必要な手続き届出先期限
20歳になった国民年金の資格取得届(学生は学生納付特例の申請も)市区町村役場誕生月の翌月
就職した厚生年金の資格取得届(会社が手続き)会社経由入社から5日以内
退職した第1号への種別変更届(国民年金への切替え)市区町村役場退職から14日以内
結婚(配偶者の扶養に入る)第3号被保険者の届出(配偶者の会社が手続き)配偶者の会社経由扶養に入った日から
離婚した年金分割の請求(合意分割 or 3号分割)年金事務所離婚から2年以内
収入が減り保険料が払えない免除・猶予の申請市区町村役場該当年度中
65歳になった年金請求書の提出年金事務所65歳誕生日の前日以降
繰上げ・繰下げを選ぶ繰上げ請求 or 繰下げ申出年金事務所希望する開始時期の前

不明な点は日本年金機構の「ねんきんダイヤル(0570-05-1165)」で確認できます。また、「ねんきんネット」に登録すると、自分の加入記録や将来の受給見込額をいつでもオンラインで確認できます。

よくある質問

年金を払わないとどうなりますか?
国民年金の未納が続くと、老齢基礎年金が減額または受給資格を失います。また、障害年金や遺族年金も受給できなくなる可能性があります。経済的に困難な場合は免除・猶予制度を利用しましょう。
年金手帳はまだ必要ですか?
2022年4月以降、年金手帳は廃止され「基礎年金番号通知書」に切り替わりました。既に持っている年金手帳は引き続き基礎年金番号の確認に使えます。詳しくは年金手帳についてをご覧ください。
専業主婦(第3号被保険者)は保険料を払わなくていいのですか?
はい。会社員・公務員の配偶者で年収130万円未満の場合、第3号被保険者として保険料負担なしで国民年金に加入できます。ただし、受け取れるのは老齢基礎年金のみ(満額で月約7.1万円・2026年度)です。
年金受給額を自分で確認する方法はありますか?
「ねんきんネット」でいつでも確認できます。基礎年金番号またはマイナンバーカードがあれば登録可能です。50歳以上の方には毎年届く「ねんきん定期便」にも見込額が記載されています。50歳未満の方の定期便にはこれまでの加入実績に基づく計算額が記載されます。
年金は将来もらえなくなるのですか?
制度が廃止される可能性は極めて低いです。日本の公的年金は、現役世代の保険料で高齢者の給付を支える「賦課方式」を基本としつつ、約200兆円の積立金(GPIF運用)で調整する仕組みです。ただし、マクロ経済スライドにより給付水準が徐々に調整(実質的に目減り)される見通しのため、私的年金での上乗せ準備が重要です。
離婚したら年金はどうなりますか?
婚姻期間中の厚生年金記録を分割できる「年金分割」制度があります。「合意分割」(当事者の合意 or 裁判所の決定で最大1/2)と「3号分割」(第3号被保険者が請求すれば自動的に1/2)の2種類があり、離婚から2年以内に年金事務所で手続きする必要があります。

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最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

本相談は年金事務所・自治体・勤務先の手続きや受給額の確定を代行するものではありません。