育休中の住民税はどうなる?|前年所得課税のしくみと復帰後の負担【2026】
育休中も住民税の支払い義務は免除されません。住民税は前年の所得に対してかかるため、産休・育休に入っても昨年の給与に基づく金額を払い続ける必要があります。多くの企業で育休中の給与は無給のため、会社が「普通徴収」(自分で納付)に切り替えるか、「一括徴収」(残り年度分を最後の給与から天引き)を選択します。
結論(押さえるべき4点)
- 育休中も住民税は前年所得ベースで発生
- 会社経由で普通徴収に切替→自分で年4回納付
- 育休中は所得税・社会保険料は免除、でも住民税はかかる
- 復帰翌年は育休中(低所得)ベースで安くなる
なぜ育休中も住民税がかかるのか
住民税は「前年1/1〜12/31の所得」に対して翌年6月から12か月で課税されます。2026年6月に育休に入っても、2025年の給与に基づいた住民税は払い続けなければなりません。所得税・健康保険料・厚生年金保険料は育休中免除ですが、住民税は国の制度でなく地方税のため免除対象外です。
会社がとる3つのパターン
- 普通徴収への切替:会社が自治体に「給与支払者変更届」を出し、残り期間は本人が納付書で支払う(最も一般的)
- 一括徴収:最後の給与またはボーナスから残り年度分を一括天引き
- 会社が立替え(復帰後返済):稀。会社が立て替えて復帰後に天引きで清算
育休から復帰した翌年は安くなる
育休期間中の所得(育児休業給付金は非課税)は住民税の計算対象にならないため、復帰翌年の住民税は大幅に下がります。たとえば2025年1〜3月のみ勤務で以降育休の場合、2026年度の住民税はフル勤務時の1/4〜1/3程度になります。
減免制度はある?
多くの自治体で「失業・廃業・休業で所得が著しく減少した場合の減免制度」があります。ただし育休を直接の理由とした全国一律の減免制度はなく、各自治体の判断になります。育休給付金+貯蓄で生活が困難な場合は、住民税課に「減免申請したい」と相談する価値があります。
育休中の月収・世帯収支シミュレーション
産休・育休中の収入源は、出産手当金(給与の約2/3・健保)→育児休業給付金(給与の67%→50%・雇用保険)です。年収500万の会社員が1歳まで育休を取った場合の手取り感。
| 時期 | 収入 | 住民税 | 差引 |
|---|---|---|---|
| 産休(出産手当金) | 月28万円 | 月2万円天引き | 26万円 |
| 育休前半(67%) | 月22万円 | 普通徴収6万円×4期 | 約22万円/月平均 |
| 育休後半(50%) | 月17万円 | 普通徴収6万円×4期 | 約17万円/月平均 |
育休給付金は非課税ですが、住民税は前年所得ベースで丸々請求されるため、育休中の家計は「給付金+配偶者の給与−住民税」の設計になります。
復帰後・2人目育休中の住民税推移
育休取得の翌年は「前年=育休で低所得」になるため、住民税が大幅減。年収500万→育休7月〜翌3月なら翌年の住民税は約7万円(通常23万→マイナス16万円)。
2人目を連続で取得した場合、1人目育休中の低所得ベースで課税されるので、住民税は均等割5,000円+わずかな所得割で1万円程度の最低水準に。出産を繰り返すほど住民税の負担感は激減します。
会社の処理パターン別の手続き
- 普通徴収切替:会社が自治体に「給与支払者変更届」を提出→残り月分の納付書が本人に郵送→年4回納付(最多パターン)
- 一括徴収:最終給与またはボーナスから残り年度分を全額天引き(6〜12月休職の場合の選択肢)
- 会社が一時立替:会社が毎月自治体に納付、復帰後に給与から分割天引きで回収(一部大企業)
復帰後の経済的余裕を考えると、「普通徴収に切り替えて自力で納める」方法が家計管理しやすくおすすめです。
住民税減免申請が認められる条件
育休自体が減免事由として全国共通で認められているわけではありませんが、以下の条件を満たせば申請の余地あり。
- 世帯全体の所得が生活保護基準を下回っている
- 育休給付金+貯蓄を切り崩しても生活が困難
- 配偶者も育休・失業中で世帯収入が著しく減少
- 医療費が家計を圧迫している
減免認定されれば住民税が50〜100%減。却下されても徴収猶予(延滞金軽減+納期延長)は認められやすいので、苦しい時はまず相談してください。
ふるさと納税・iDeCo・NISAの活用可否
- ふるさと納税:育休中の限度額はその年の所得ベース。育休中はほぼゼロなのでメリットなし。翌年の復帰後に通常通り活用
- iDeCo:育休中も拠出可能。ただし所得がないので節税効果は発揮せず、運用目的なら継続・節税目的なら一時休止が妥当
- NISA:育休給付金から積立継続可。住民税とは無関係なので影響なし
育休制度と自治体の独自支援
住民税の用語集(このページで使った言葉)
- 所得割
- 前年の課税所得に10%(道府県4%+市町村6%)を掛けて計算する住民税の主要部分。年収に応じて変動する。
- 均等割
- 所得に関係なく住民全員が定額で負担する部分。標準は年5,000円(道府県1,500円+市町村3,500円+森林環境税1,000円)。
- 森林環境税
- 2024年度から徴収開始された国税。均等割と一緒に年1,000円が徴収され、森林整備の財源になる。
- 特別徴収/普通徴収
- 特別徴収は勤務先が給与天引きで自治体に納める方式(会社員)、普通徴収は納税者本人が納付書で納める方式(自営業など)。
- 調整控除
- 所得税と住民税で基礎控除・扶養控除などの金額差があるため、住民税が過大にならないよう調整する控除。年2,500円前後。
- 寄附金税額控除
- ふるさと納税などの寄附金を住民税から直接差し引く制度。6月の通知書で反映を確認できる。
- 定額減税
- 2024年から実施されている税額軽減策。住民税から1人1万円(本人+控除対象配偶者+扶養親族)が差し引かれる。
- 1月1日時点の住所地
- 住民税はこの時点での住民票所在地の自治体に1年分納める。年の途中で引っ越しても納付先は変わらない。
住民税で損しないための10項目チェックリスト
- 6月の通知書が届いたら「課税所得」「所得割額」「寄附金税額控除」の3項目を必ず確認
- ふるさと納税はワンストップ特例の提出期限(翌年1月10日)を守る
- 生命保険料・地震保険料・iDeCoの控除証明書は年末調整で必ず提出
- 医療費が世帯で10万円を超えたら確定申告で医療費控除を申告
- 副業がある人は住民税申告で「自分で納付」を選択
- 要介護の親・配偶者がいる場合は障害者控除対象者認定書を取得
- 退職・独立する人は翌年の住民税分を退職前に積み立てる
- 育休・休職で所得が激減したら減免申請を検討
- 納期に間に合わないなら延滞金発生前に徴収猶予を申請
- 過去5年分の申告漏れは更正の請求で還付される可能性あり
住民税をさらに深く理解するための関連記事
本サイトでは住民税をテーマ別に17本の記事で解説しています。以下の関連記事もあわせてお読みください。
よくある質問
Q. 育児休業給付金は住民税の課税対象?
非課税です。住民税の計算に含まれません。
Q. 2人目の育休が連続したら住民税もずっとかかる?
1人目育休中の所得は低いため、2人目育休中の住民税は均等割5,000円+わずかな所得割でほぼ最低額になります。
Q. 夫(妻)の扶養に入れば住民税は免除?
扶養に入っても住民税ゼロにはなりません。前年所得があれば課税されます。ただし翌年度以降、配偶者控除の対象になれば配偶者側の住民税が下がります。
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