住宅ローン控除と住民税|所得税から引ききれない時の控除上限【2026】
住宅ローン控除は、まず所得税から控除され、所得税から引ききれない分が翌年度の住民税から最大9.75万円(課税所得の5%が上限)まで控除されます。年収500万円前後の方や、ふるさと納税・iDeCoで課税所得を圧縮している方で「住民税からも控除された」ケースが多く発生します。
結論(押さえるべき4点)
- 住宅ローン控除は所得税 → 引ききれない分は住民税に繰り越し
- 住民税からの控除上限は課税所得の5%(最大9.75万円/年)
- 翌年6月の決定通知書「税額控除額」欄で確認できる
- 初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で自動反映
住宅ローン控除のしくみ(2026年)
2026年入居分の住宅ローン控除は、年末ローン残高×0.7%を最大13年間、所得税→住民税の順で控除します。新築の長期優良住宅は最大4,500万円、一般住宅は最大3,000万円が借入上限です。
住民税に繰り越される条件
所得税額<控除可能額のときに差額が住民税へ移動します。次の人が該当しやすいです。
- 年収400万〜600万円の会社員
- ふるさと納税・iDeCoで課税所得を圧縮している
- 扶養家族が多く控除額が大きい
- 医療費控除が大きい
住民税からの控除上限
| 入居年 | 住民税控除上限 |
|---|---|
| 2022〜2026年入居 | 課税所得×5%(最大9.75万円/年) |
| 〜2021年入居 | 課税所得×7%(最大13.65万円/年) |
上限に達して余った分は切り捨てです(翌年繰越なし)。
確認方法
6月の住民税決定通知書の「税額控除額」または「摘要欄」に「住宅借入金等特別税額控除」として記載されます。金額がおかしいと感じたら、確定申告書の第一表「住宅借入金等特別控除額」と照合してください。
ふるさと納税との併用
併用は可能ですが、住宅ローン控除で課税所得が十分減っていると、ふるさと納税のメリットが頭打ちになります。ワンストップ特例のほうが住宅ローン控除への影響が少ないため、併用時はワンストップ推奨です。
年収・借入額別の住民税控除額早見表
| 年収 | 借入2,000万 | 借入3,000万 | 借入4,000万 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 7.5万円 | 9.75万円(上限) | 9.75万円(上限) |
| 500万円 | 3.2万円 | 6.8万円 | 9.75万円(上限) |
| 700万円 | 0円 | 1.2万円 | 4.5万円 |
| 1,000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
年収1,000万円クラスは所得税額が大きいため所得税側ですべて控除し終わり、住民税への繰り越しは発生しません。住民税控除が効くのは年収400〜600万円+借入2,500万円以上のゾーンが中心です。
2026年入居と過去入居の違い
住宅ローン控除は毎年少しずつ縮小されています。入居年ごとの条件を整理すると次のとおり。
| 入居年 | 控除率 | 期間 | 借入上限(一般) |
|---|---|---|---|
| 2021年以前 | 1.0% | 10〜13年 | 4,000万円 |
| 2022〜23年 | 0.7% | 13年 | 3,000万円 |
| 2024〜25年 | 0.7% | 13年 | 2,000万円(新築一般) |
| 2026年 | 0.7% | 13年 | 3,000万円(長期優良4,500万) |
2026年税制改正で借入上限が見直され、長期優良住宅・ZEH水準住宅の枠が拡大。環境性能の高い住宅ほど控除額が大きくなる方向です。
確定申告1年目・年末調整2年目の手続き
初年度(購入した年):翌年2〜3月に確定申告が必須。必要書類は、借入金残高証明書・登記事項証明書・売買契約書・住民票・源泉徴収票・長期優良住宅証明書(該当者)。e-Tax経由なら一部書類提出省略可。
2年目以降:勤務先の年末調整で完結。必要書類は、金融機関から届く「残高証明書」と税務署から届く「住宅借入金等特別控除証明書」の2枚のみ。源泉徴収票の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」が印字されていれば正しく処理されています。
ふるさと納税と併用する際の落とし穴
住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能ですが、所得税から差し引く順番で限度額が変わります。
- ふるさと納税(所得税還付)→住宅ローン控除(所得税)→住宅ローン控除(住民税)の順で処理
- 確定申告でふるさと納税を申告すると、住宅ローン控除の所得税枠を圧迫し、結果的に住民税側でも上限を使い切れないケースが発生
- ワンストップ特例を使えばふるさと納税は住民税だけに効くので、住宅ローン控除の所得税枠を侵食しない
住宅ローン控除を受けている方は、ふるさと納税はワンストップ特例を選ぶのが鉄則です。
iDeCo・医療費控除との併用効果
iDeCo月2.3万円+ふるさと納税(ワンストップ)+住宅ローン控除を併用した年収500万円・借入3,000万円のケース。
- iDeCoで所得控除27.6万円→課税所得が下がり所得税・住民税とも軽減
- ふるさと納税6万円で住民税が約5.8万円減額(上限内)
- 住宅ローン控除21万円が所得税→住民税の順で適用
- 合計の年間節税効果:約28万円
医療費控除は10万円を超える部分が所得控除になるため、高額療養があった年も併用可。住民税側へのしわ寄せが発生しないよう、すべての控除を確定申告で一括処理すると整合性が保てます。
都市部と地方の実質節税効果
住民税の用語集(このページで使った言葉)
- 所得割
- 前年の課税所得に10%(道府県4%+市町村6%)を掛けて計算する住民税の主要部分。年収に応じて変動する。
- 均等割
- 所得に関係なく住民全員が定額で負担する部分。標準は年5,000円(道府県1,500円+市町村3,500円+森林環境税1,000円)。
- 森林環境税
- 2024年度から徴収開始された国税。均等割と一緒に年1,000円が徴収され、森林整備の財源になる。
- 特別徴収/普通徴収
- 特別徴収は勤務先が給与天引きで自治体に納める方式(会社員)、普通徴収は納税者本人が納付書で納める方式(自営業など)。
- 調整控除
- 所得税と住民税で基礎控除・扶養控除などの金額差があるため、住民税が過大にならないよう調整する控除。年2,500円前後。
- 寄附金税額控除
- ふるさと納税などの寄附金を住民税から直接差し引く制度。6月の通知書で反映を確認できる。
- 定額減税
- 2024年から実施されている税額軽減策。住民税から1人1万円(本人+控除対象配偶者+扶養親族)が差し引かれる。
- 1月1日時点の住所地
- 住民税はこの時点での住民票所在地の自治体に1年分納める。年の途中で引っ越しても納付先は変わらない。
住民税で損しないための10項目チェックリスト
- 6月の通知書が届いたら「課税所得」「所得割額」「寄附金税額控除」の3項目を必ず確認
- ふるさと納税はワンストップ特例の提出期限(翌年1月10日)を守る
- 生命保険料・地震保険料・iDeCoの控除証明書は年末調整で必ず提出
- 医療費が世帯で10万円を超えたら確定申告で医療費控除を申告
- 副業がある人は住民税申告で「自分で納付」を選択
- 要介護の親・配偶者がいる場合は障害者控除対象者認定書を取得
- 退職・独立する人は翌年の住民税分を退職前に積み立てる
- 育休・休職で所得が激減したら減免申請を検討
- 納期に間に合わないなら延滞金発生前に徴収猶予を申請
- 過去5年分の申告漏れは更正の請求で還付される可能性あり
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よくある質問
Q. 住宅ローン控除で住民税はいくら減る?
年収500万・扶養なし・ローン残高3,000万の場合、住民税から約6〜9万円が控除されるケースが多いです。
Q. 控除を受けるのに住民税の申告は必要?
不要です。確定申告または年末調整で住宅ローン控除を申告すれば、自動的に翌年度の住民税に反映されます。
Q. 住民税から控除される時期は?
入居翌年の6月〜翌々5月の住民税で控除されます。
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